ちょ〜 初心者にお贈りする デジカメで花火の写真を撮ろう!(スターマイン編)



夏の風物詩「花火」。夜空に打ち上がる大輪の花を、綺麗だなぁと眺めている人は沢山いるでしょう。折角だからこの綺麗な花火を写真に残しておこうと、インスタントカメラで撮影にチャレンジした人も多いかと思います。でも、出来上がった写真は真っ黒だったり、イガグリのようなトゲトゲの写真ばっかりで、あの時の感動はどこへやらって結果になってしまった人が多い事でしょう。携帯電話のカメラで撮ってみても、なんだかぼや〜とした写真ばかりだし、もっと上手に撮れないかなぁ〜って思っている そんなあなたにお贈りする


PowerShot A70
シャッタースピード 5秒
絞り F8.0
ちょ〜初心者のための
「デジカメで花火の写真を撮ろう!(スターマイン編)」
講座の始まりです。





なぜ、失敗写真になってしまったのか
まず初めに、なぜインスタントカメラや携帯のカメラでは失敗写真になってしまうのかお教えしましょう。そもそも花火写真とは、花火の光の軌跡を写すものなのです。短い場合で1〜2秒、長い場合は10秒ほどの光の軌跡を、1枚の写真に写し込む事が花火写真なのです。ではインスタントカメラや携帯のカメラは、何秒間、光の軌跡を写せると思いますか?機種によって違いはありますが、おおよそインスタントカメラで0.02秒くらい、携帯カメラでも0.1秒くらいです。こんな短い時間しか撮影が出来ないのですから、真っ黒な写真や花火がトゲトゲになった写真になってしまうのは当然なのです。
また写真がボケてしまう最大の原因は、撮影時の手ブレによるものです。シャッターを押した時にカメラが動いてしまうので、写真もブレてしまうのです。


この講座の目指すところは
この講座では、3〜5万円程度のポケットに入る大きさのデジカメを使って「大きくプリントしたくなる花火写真」が撮影出来るようになる事を目標とします。花火は直径数百メートルにもなる大きな球です。そんな大きな物の写真を、携帯の小さな画面におさめるのでは可愛そうです。大きくプリントしてこと花火写真の価値が上がるというものです。

カメラを用意しよう
デジカメは、マニュアル操作が出来る機種(推奨)、もしくは撮影モードに打ち上げ花火モードがある機種で、ズームが付いているものを用意してください。花火モード搭載のデジカメは、当ホームページの「はなたび屋」で紹介していますので、参考にしてみてください。

マニュアル操作が出来るデジカメとは
シャッタースピード、絞り、フォーカスを自由に設定できる機種を指します。

シャッタースピードとは
カメラのシャッターを押すと一定時間レンズから光を取り込んで写真を撮影します。この時間の事をシャッタースピードと呼びます。人物の撮影など通常の使い方では、0.01秒程度の時間で撮影できますが、スターマインを撮影する場合は、3秒前後必要です。最長15秒くらいまで設定できるデジカメを選ぶと撮影の幅が広がります。

絞りとは
どのくらい光をカメラに取り込むかを数値で表したものです。人間の目に例えると、眩しいときは目を細めたり、暗いときは目を見開いたりするような事をカメラでも行います。数値が小さいほど目を見開き、大きくなるほど目を細める事になります。スターマインの場合は、やや目を細めた状態のF8.0を基準に状況に合わせ変化させます。

フォーカスとは
どの距離にピントを合わせるか指定する事です。距離が近い時ほど正確に設定しないとピンボケ写真になってしまいます。レンズによって違いがありますが、数メートルより遠いものは、すべて∞(無限遠)を設定することでピントが合います。花火の場合は、数百メートル先なので∞(無限遠)を設定します。


ストロボは使わないの?
花火写真にストロボは使いません。夜空が暗いのでストロボが必要かと思われるかもしれませんが、花火自体が明るいのでストロボの必要はありません。さらに根本的な話をすると、デジカメに搭載されているストロボの光はせいぜい5mほどしか届きません。花火は数百メートル先ですので、ストロボを発光させても光は全く届きません。仮に数百メートル届く巨大なストロボがあったとしたら、光が強すぎて真っ白な写真になってしまいます。

マニュアル操作も出来ないし、花火モードもないデジカメしか用意できませんが・・・
残念ながら花火撮影には向いていません。それでも全く撮影が出来ない訳ではなく、花火大会の最後の時のような一斉に花火が揚がった瞬間ならそれなりに写せると思います。シャッタースピードは非常に短いですが、その瞬間に沢山の花火が揚がっていれば写せない事はないでしょう。


三脚を用意しよう
最初にお話した通り、花火写真とは数秒間の光の軌跡を1枚の写真に写し込む事です。シャッターを押した後の数秒間、三脚を使ってカメラがブレる事を防ぎます。
三脚も「はなたび屋」で紹介しています。最初は安い三脚で充分です。何度も撮影を繰り返して不満を感じるようになったら、もう少し高価な安定感のある三脚の購入を検討してください。

私が実際に使っているデジカメ紹介
私が所有しているデジカメは、CanonのPowerShot A70です。PowerShot A70は、マニュアルモードがあり、シャッタースピードは1/2000〜15秒まで、絞りはF2.8〜F8.0まで、フォーカスは5cm〜∞まで自由に設定可能です。シャッタースピードが1.3秒以上になるとノイズリダクション処理が働きます。CCDは300万画素です。PowerShot A70は、すでに古い機種でお店には並んでいませんが、同じタイプの後継機種が発売されています。

ノイズリダクション処理とは
デジカメは、長いシャッタースピードになると画像にノイズが発生してしまう特徴があります。この発生したノイズを消してくれる機能をノイズリダクションと呼んでいます。

撮影テクニック説明の前に大切な話
花火写真は、カメラの撮影テクニックだけでは撮る事が出来ません。花火会場に着いた時から撮影の準備が始まっているのです。
まず花火会場には明るいうちに到着しましょう。そして、どの場所から花火が打ち上がるのかを確認しましょう。会場の300mほど先に花火の筒が並んでいるはずです。撮影場所の決定はすべてこの筒の位置が基準になります。

花火の筒との距離
花火を撮影するには、近すぎても遠すぎても問題があります。デジカメの場合、花火の筒から約400mほどの離れた場所が最適です。では、近すぎたり、遠すぎると、どういう問題があるでしょうか。

近すぎる場合
打ち上がった花火は頭上で開く事になり、あなたの顔もカメラの角度も天頂方向となり、とても撮影できる状態ではありません。撮影した花火も、そのほとんどがフレームアウト(画面からはみ出す)してしまいます。

遠すぎる場合
花火が小さくなるので撮影するためにズームを使う事になりますが、ズームすればするほど写真がブレやすくなります。また花火からの距離が遠くなると写真の画質低下にもつながります。

花火の筒から400m離れるといっても、目測では難しいものです。そんな時は、花火会場の最前列が、おおよそ筒から300mですので、それより100m後ろに下がる事を基準にすると良いと思います。

風上にいますか?
撮影場所を決める時には、必ず風向きを気にしましょう。風下にいると、自分と花火の間に煙が滞留する事になり綺麗な写真は撮れません。花火を見ている時は、それほど気にならない煙ですが、写真の場合は、花火の美しい色をくすませてしまう大敵なのです。

昼間は風上だったのに、いざ花火が始まったら風下になったという事は頻繁に起こります。地元の人に夕方以降の風向きの特徴を聞くのもよい方法でしょう。また、地上と上空の風向きが違う事もあります。花火が始まる前に何度か音だけの花火が打ち上がるはずですので、その時の煙が流れる方向に注目しましょう。

もし花火が始まってから風下になってしまった場合は、素直にあきらめしょう。ほとんどの花火大会では、打ち上げ開始以降に身動き出来る状況ではありませので、再び風向きが好転するのを待ちましょう。

ちなみに花火の撮影には「木の葉がカサカサ触れ合う程度の風」が最適と言われています。


障害物はありませんか?
花火の筒と自分との間に障害物は無いか確認しましょう。電柱や電線があったのでは、良い写真になりません。また、投光機にも注意が必要です。最近の花火大会は、安全性が重視される傾向にあり、打ち上げが始まっても投光機が消されない場合があります。写真の中に、投光機の強い光が写りこんでしまったは、折角の花火写真も台無しです。

花火を撮るためのカメラの準備
マニュアル操作が出来るデジカメの場合
1.マニュアルモードにします。

2.フォーカスを∞にします。
  これを忘れると、ピンボケの写真になってしまいます。

3.絞りをF8.0にします。

4.シャッタースピードを、3秒に設定します。
(シャッタースピードは、スターマインの打ち上げ内容によって、こまめに変更する必要があります。明るくて沢山花火が揚がった場合は1秒程度から、打ち上げ数が少ない場合は5秒程度まで花火の内容に応じて変更します)

5.感度が設定できる場合は、ISO50またはISO100に設定します。

6.ホワイトバランスは太陽光にします。

7.カメラが縦になるように三脚に固定します。

シャッタースピードは、打ち上げ中に変更する事が多いので、暗闇の中でも操作できるように、あらかじめ操作に慣れておきます。その際、ちゃんと縦位置にした状態で練習しておかないと意味がないです。


花火モード搭載カメラの場合
1.撮影モードを花火モードに切り替えます。

2.カメラが縦になるように三脚に固定します。

花火モードの場合、上記マニュアルの項で説明した絞りやシャッタースピードは、自動で設定されます。シャッタースピードはデジカメの機種毎に違うスピードに設定されますので、自分の機種が何秒なのか予め試し撮りをしておきましょう。


スターマインの打ち上げ方を知ろう
花火に限らず写真の基本は、撮ろうとしている相手の事を良く知ることです。一言で「スターマイン」と言っても、その打ち上げ方は様々ですが、前半は玉数が少なめで高さが低めの花火が揚がり、後半に向けて少しずつ玉数が増え高さもより高くなり、最後はいっきにドカーンといった感じに、徐々に盛り上げていくパターンが多いです。 スターマインの打ち上げ筒は、まとめて同じ場所に置かれていますから、必ず同じ位置から次々と打ち上がります。規模の大きな花火大会では、複数個所にスターマインがセットされ、同時に数箇所から打ち上がる事もあります。

いよいよ撮影!

ずばり!スターマイン撮影成功の秘訣は、スターマインの前半は準備に集中して、後半、撮影に集中する事です。前の項で説明したように、スターマインの盛り上がりは後半部分ですので、前半部分は準備を確実行う時間と思って焦って撮影しないことです。初心者がよくやってしまう失敗に、花火が打ち上がると気ばっかり焦ってしまって、三脚もカメラの準備も中途半端のまま撮影してしまう事が挙げられます。準備に時間がかかった時には、スターマインのラスト1枚だけ撮影できればOKというくらいの気持ちで、準備をしっかり行いましょう。

さて、いよいよスターマインの撮影テクニックです。順を追って説明してきましょう。

スターマインが打ち上がり始めたら、デジカメの液晶画面を見ながら、おおよそ花火全体が収まるようにカメラの角度、レンズのズームを調整します。(もし、レンズをワイド側いっぱいにしても、まだ大きく花火がはみ出すようだったら、今の場所は近すぎたようです。もっと遠くに離れる必要があります。)しばらく液晶画面を見てスターマインが画面内に収まっている事が確認できたら、画面の上側が1/4〜1/3ほど空くように、レンズのズーム、カメラの角度を再調整します。上側を空けるのは、スターマインが後半に向けて豪華になっていく事に備えるためです。

ここまで準備が出来たら、シャッターボタンに指を置き、視線は液晶画面から本物の花火に移しましょう。実際に打ち上がる花火を見ながら、カメラのシャッターを押します。最初はどうしても液晶画面の方が気になって、直接花火見る事が出来ないと思いますが、シャッターを押す時は実際の花火を見ながらの癖をつけましょう。撮影している数秒間は決して三脚に触れないようにします。スターマインが終了したら、今撮った写真をプレビューして確認しましょう。花火が、ちゃんと画面内に収まって撮影出来たでしょうか?スターマイン前半での準備がしっかり出来ていれば、だいたい画面内に収まった写真が撮れているはずです。何度か撮影を繰り返して、ほぼ思った通りに花火が画面内に収まるようになったら、スターマインを画面に収めるテクニックは習得できたといえるでしょう。

では、さらにもう一歩進めましょう。最初に説明した通り、花火写真は光の軌跡を写すものですから、シャッターを押してから数秒間の花火の軌跡を自分の中でイメージしてみてください。最初のうちは1枚撮ったら即プレビュー画面で、自分のイメージと実際の写真を比べてみましょう。おそらくイメージと全く違う写真が撮れていると思います。違う原因は、シャッターを押すタイミングかもしれませんし、シャッタースピードかもしれません。もしかしたら、イメージ自体が出来ていない事かもしれません。次の撮影は、シャッタースピードを変えてみようとか、タイミングを変えてみようとか、色々な方法で撮影にチャレンジして、イメージと写真が近づけるよう何度も繰り返してみてください。貴方のイメージに近付いた写真こそ、この講座の目標である「大きくプリントしたくなる花火写真」となるでしょう。

最後に、
花火写真は失敗の連続です。1回の花火大会で1枚いいなぁと思える写真が撮れれば成功といえるでしょう。何度も何度も撮影して、失敗して、いいなぁと思える写真が、2枚、3枚と増えていくように頑張ってください。

PowerShot A70
シャッタースピード 5秒
絞り F8.0
PowerShot A70
シャッタースピード 5秒
絞り F5.6

こんな時には
以下に、きっと遭遇するいくつかの問題解決のヒントを書いておきます。

花火が少なくて物足りない
マニュアル操作が出来るデジカメの場合
シャッタースピードを5秒くらいに延ばしてみましょう。

花火モード搭載カメラの場合
残念ながらシャッタースピードでの対応は出来ませんから、撮影するタイミングを変更してみましょう。 あまり早すぎても、遅すぎても駄目です。 花火を見ていて、豪華になってきた所で、シャッターを押しましょう。「豪快になった」のでは遅すぎます。 「豪華になってきた所」です(^^;


花火が多すぎて写真が白くなった
マニュアル操作が出来るデジカメの場合
シャッタースピードを1秒くらいに縮めてみましょう。

花火モード搭載カメラの場合
デジタルカメラの特性上、どうしても花火が沢山あると白くなる傾向があります。 もう少し、花火が少ないタイミングを見計らって撮影してみましょう。 裏技的な方法として、撮影中に明るすぎるなと思ったら即座にレンズの前を手で覆ってしまい これ以上を光をレンズに入れないのも有効な手段です。


撮った写真の花火が小さい
撮影準備の段階で、画面の上側をスターマイン後半に向け空けておいたのですが、どうやら思ったほど、豪華にならなかったようです。スターマインの特徴を掴んで、対応してください。

花火が写真からあふれている。
上側の空きが足りなかったようです。もう少し空けてみましょう。
この画面からあふれる場合ですが、私の場合は、有る程度画面からあふれていたほうが、迫力があってスターマイン写真としては好きなので、あえて全体を入れずにあふれる写真を狙って撮っています。



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