デジカメで花火の写真を撮ろう!(単発花火編)

ちょ~ 初心者にお贈りする デジカメで花火の写真を撮ろう!(単発花火編)

スターマイン編を読んで、ちょっと花火の写真撮影が楽しくなってきたぞ!
というあなたにお贈りする

ちょ~初心者のための
「デジカメで花火の写真を撮ろう!(単発花火編)」
講座の始まりです。

デジカメで花火の写真を撮ろう!(単発花火編)は、スターマイン編をお読みになった方を対象としますので、まだお読みになってない方はスターマイン編を先にお読みください。

単発花火とは

前の講座で説明したスターマインは、間髪いれずに次々と打ち上がる花火でしたが、単発花火とは読んで字のごとく一発一発打ち上がる花火の事です。この講座を読んでいる方のなかにはスターマインは豪快で好きだけど、単発はつまらないなぁと思っている人もいるかと思います。実は私も最初はそうでした。しかし「花火の見所の違い」がわかってくるとスターマインと単発花火のそれぞれの良さが見えてきます。まずは、スターマインと単発花火の見所の違いを、スポーツを例にとって説明しましょう。

スポーツには、個人で勝敗を競う個人スポーツと、チームで戦う団体スポーツがあります。
スターマインを例えるなら、団体スポーツです。団体スポーツは、個々の能力を向上する事も大切ですが、もっとも重要なのがチームワークです。パスを出すタイミングや選手のフォーメーションなどが勝敗を大きく左右します。もし選手の1人がミスをしても、仲間の助けでミスを帳消しにして、チームは勝利する事だって出来ます。
単発花火は、個人スポーツに例えられます。個々の能力を究極まで高め、観客全員の目が自分に集中する中、完璧に競技を行う必要があります。1回のミスが勝敗を左右する厳しく、過酷なスポーツです。

例えが適切なのか、いまいち不安が残りますが(^^;、要はスターマインは、打ち上げ全体を通しての構成や演出が重視される花火の打ち上げ方で、単発花火は、その花火自体のデキが重視される打ち上げ方なのです。正直、スターマインの花火の中には、失敗作?と思われる花火が打ちあがる事もありますが、それを補うに充分な打ち上げ構成や演出があると、スターマインとしては素晴らしい評価となります。それに比べ単発花火は、「ごまかし」が利かない、花火を作る職人の腕がはっきりと現われる打ち上げ方なのです。花火の中には、世界中で唯一この職人にしか作れないという花火があります。その作品を生で見ると鳥肌が立つくらいゾクゾクとするものです。

そんな職人の巧の作品を撮るには、スターマインと比べ何が違うのでしょうか?

シャッタースピード

スターマインでは、だいたい3~5秒の設定で撮影できましたが、単発花火の場合は花火の大きさ・種類によってシャッタースピードは様々で、3秒から時には10秒以上必要になる事もあります。

シャッターを押すタイミング

スターマインの撮影タイミングには、これ!といった決まりはなく、打ち上がっている最中、自分の好きなタイミングを選んでシャッターを押しますが、単発花火の場合は、花火が開く直前から花火が消えるまでが基本となります。

カメラの方向

スターマインの場合は、打ち上げが始まれば常に同じ位置から打ちあがるので、最初にカメラを固定してしまえば、変更する必要はありませんでした。単発花火の場合も同じ位置から打ち上がる事が多いのですが、その都度、高さや方向が微妙に違いますので、花火毎にカメラの方向を変える必要があります。ここがスターマインに比べ難しい点です。

単発花火撮影の打ち上げ方を知ろう

単発花火も、スターマイン同様、打ち上げ方は様々ですが、比較的多いのが、先に打ち上がった花火が消えたら、次の花火を打ち上げる、といったパターンです。打ち上がった花火の高さや大きさは、花火玉の大きさで決まります。花火玉の大きさは「号」で表され、1号約3cmで、5号玉だと約15cm、10号玉だと約30cmの球体です。10号玉の場合は、昔の尺貫法の呼び方で、尺玉と呼ばれる事があります。花火が空中で開いた時の大きさは、5号玉で直径約180m、10号玉で直径約300mの大きさとなり、実に1000倍超まで広がります。

単発花火の打ち上げで知っておくことは、
「号数が同じ花火であれば、ほぼ同じ高さまで打ち上がり、ほぼ同じ大きさに広がる」
という事です。あえて「ほぼ」というのは、花火の種類によって、差が激しいからです。ただし、いくら差が激しいとはいえ、5号玉が10号玉の大きさまで広がる事はありません。

単発花火を撮ろう

いよいよ、単発花火の撮影テクニックの説明に進みます。
花火会場に到着して撮影場所を決める基準は、スターマインの時と同じです。花火の筒から約400m離れた、障害物の無い風上を選びます。

単発花火の撮影方法は、
「打ち上がった花火玉を追いかけ、開く直前にシャッターを押す。」
です。いったいどういう意味?という方が大半でしょうから、順を追って説明していきます。

単発花火は、花火自体が主役なわけですから、花火全体が画面いっぱいなるようにズームを調整して撮影します。ズームが足りないと、小さな迫力の無い写真になってしまいますし、ズームしすぎると、花火の全体像がわからない写真になってしまいます。

単発花火の撮影方法として、2種類ご紹介します。1つ目は撮影テクニックは簡単ですが、撮影に成功する割合が低い方法で、2つ目はテクニックを必要としますが、身に付けてしまえば、ほぼすべての単発花火撮影が成功する方法です。上記に挙げた「打ち上がった花火玉を追いかけ、開く直前にシャッターを押す。」は、後者での撮影方法になります。

撮影方法その1(カメラ固定編)

スターマインの撮影方法と同じで、打ち上げの前半でカメラの位置を決定したら、あとはカメラを動かさず撮影する方法です。

まず、カメラの設定を行います。設定内容はスターマイン編で説明した通りですが、マニュアルカメラのシャッタースピードは5秒くらいに設定しておきましょう。花火モード搭載カメラではシャッタースピードが短い可能性があります。これから説明する方法で単発花火の撮影にチャレンジしてみて、花火が消える前に撮影が終わってしまう場合は、単発花火の撮影には向いていないので、スターマイン専用デジカメとして撮影しましょう。

スターマイン同様、いきなり撮影をしようと思っても失敗写真を大量生産するばかりです。まずは、単発花火が夜空にどの辺りで開いているのか確認しましょう。単発花火が開いたら、カメラをさっと花火の方に向け、液晶画面に花火を映してみましょう。花火が大きく開ききった所で、ズームを使ってちょうど花火が画面内に収まるように調整します。一度、液晶画面内に花火を収めてしまえば、あとは僅かにカメラの角度を変えることで、他の花火も液晶画面内に収まる事がわかると思います。ここまで確認できた所で、現在のカメラ位置で、しっかりと三脚に固定して単発花火を撮影してみます。目線を液晶画面から実際の花火に移し、シャッターボタンに指をおきます。花火が上空高く昇っていくのを見ながら、開く直前にシャッターを押します。最初は、遅れぎみになってしまうと思いますが、暫くすると、だんだんタイミングがわかってくると思います。シャッターのタイミングがわかった次は、シャッタースピードを確認しましょう。もし花火が消える前に撮影が終了しているようだったら、シャッタースピードを長くします。あまり長すぎても、次の撮影に影響が出ますから、頃合良く調整しましょう。何度か撮影したものをプレビュー画面で確認すると、ほぼすべての写真に花火が写っていると思います。しかし、花火が丁度真ん中に撮影できた写真は数枚で、多くは上下左右どちらかにズレてしまった写真が多い事でしょう。

撮影方法その2(花火追いかけ編)

カメラ固定では、どうしても花火を中央で捕らえる割合が低くなってしまうので、花火追いかけ編では、どの花火も画面中央に写すための撮影テクニックを説明します。

三脚には、カメラと三脚を固定するツマミと、カメラを載せた台(雲台と呼びます)を固定するツマミがあります。そのうち、カメラと三脚を固定するツマミはしっかりとカメラが動かないように絞めておきます。雲台のツマミは、いつでも緩められる状態にしておきます。

ひとまずカメラはそのままにして、耳を澄ましてみましょう。花火が夜空で開く時に、ドカーンと大きな音がしますが、その数秒前にも小さな音でボンっと聞こえているはずです。この音は、花火玉が筒から打ち出される時の音です。(私達は筒から離れているので小さな音に聞こえますが、筒の近くでは耳がキーンとなるほどの大きな音です。)この音が聞こえたら目を凝らしてみてください。花火が空高く昇っていくのがわかると思います。最初は勢い良く昇っていく花火玉も次第にゆっくりになってきて頂点に達した頃、ドカーンと開いている事がわかると思います。何度か、ボンと聞こえたら花火が開くまで目で追いかけてみてください。昇っていくスピードや花火が開くタイミングが分かってくると思います。

筒から打ち出されてから開くまでの過程がわかるようになったら、いよいよ撮影にはいります。デジカメにファインダー(撮りたい物を確認する覗き窓)が付いている場合は、ファインダーを覗いて花火の筒がある方向にカメラを向けてください。ファインダーが付いていない機種の場合は液晶画面を見ながら、花火の筒がある方向にカメラを向けます。この時、雲台のツマミは絞めずに自由にカメラの角度が変更できる状態にしておきます。このままの体勢で、花火が打ち上がるボンという音に集中してください。音が聞こえたら、ファインダーもしくは液晶画面の中に昇っていく花火玉をとらえながら、カメラを上方に向けていきます。花火によっては斜めに昇っていく場合もありますので、見失わないように追いかけます。昇る勢いがなくなってきたところで、雲台のツマミを絞めてカメラを固定し、シャッターを押します。シャッターを押した後に花火が開けばシャッターを押すタイミングは成功です。その後、打ち上がった花火が消えるまで撮影しているか確認しましょう。花火が消える前に撮影が終わってしまった場合は、もう少しシャッタースピードを延ばします。

では、早速撮影した花火をプレビューしてみましょう。

花火が画面中央に撮影できましたか?
花火が開く前にシャッターを押すのですから、最初は花火を画面中央に入れる事は難しいと思います。しかし、花火玉が昇って開くタイミングが分かってくると、だんだんと真ん中に写せるようになってきますので、繰り返し練習してみてください。

花火が画面からはみ出していたり、小さかったりしていませんか?
花火の種類によっても花火の大きさは異なりますから、最初からピッタリ画面に収める事は難しいものです。撮影結果をプレビューしながら、ズームの調整をして繰り返し練習してみてください。

花火が、明るすぎたり、暗すぎたりしていませんか?
撮影した花火が極端に明るいか、暗かったのだと思います。絞りを変えれば対応できるのですが、今撮影した写真が明るすぎた(暗すぎた)からと絞りを変更しても、次の花火で最適になるとは限りません。次に揚がる花火の種類が分かっている場合を除きF8.0で撮影する事が失敗の少ない方法です。

花火の中心部分が抜けていませんか?
シャッターを押すのが遅いと、花火の中心部分が抜けた写真になってしまいます。もう少し早くシャッターを押すようにしましょう。

花火を追いかけるときに、ファインダーを覗く事をお勧めしたのは、ファインダーに比べ、液晶画面だと花火玉が見え難いからです。私なんかは見えなかった場合、勘でカメラ位置を決めて撮影してしまいますが(^^;、さすがに見えない物撮影できませんね。単発花火には、「昇曲導付き(のぼりきょくどうつき)」と呼ばれるおまけが付く事があります。花火が昇っていく最中に、小さな花火がポッ、ポッと咲いたり、太い尾を引いたように昇っていくものがそれにあたるのですが、こうした花火の場合は、液晶画面にもはっきりと映りますので、追いかけるのが非常に楽です。

花火追いかけ方法をまとめると、
1.カメラを花火の筒のほうに向け、雲台のツマミを緩めておきます。
2.打ち上げ音が聞こえたら、花火玉を追いかけてカメラを上に向けます。
3.花火玉の昇り方がゆっくりになったら、雲台のツマミを絞めシャッターを押します。
4.花火が消えるまで撮影します。

さらなる挑戦

今まで単発花火の撮影テクニックを説明してきましたが、実はとっても難しいのが、打ち上がる花火は、いつも同じ大きさの花火じゃないところです。5号玉と10号玉では、開いたときの直径が倍も違います。写真に写る面積でいえば4倍も違います。5号玉用にズームを調整したカメラで10号玉を撮れば、間違いなく画面からはみ出してしまいますし、逆の場合は、花火がとても小さく写ってしまいます。そこで必要になってくるのが、花火大会のプログラムです。多くの場合、プログラムには花火の号数が記載されています。花火会場に着いたらまずプログラムを入手し、花火大会が始まったら、プログラムで花火の大きさを確認をしながら、ズームを調整して撮影に臨みましょう。
では、プログラムが無い花火大会ではどうすればよいでしょうか。私は、筒から花火玉が打ち上がる時の音を聞き分けて、大きさを予想しています。小さい玉ほど、軽く高い音がして、大きな玉ほど重く低い音がします。この打ち上げ音の聞き分けが出来るようになると、撮影が非常に楽になります。

PowerShot A70
シャッタースピード 4秒
絞り F8.0
PowerShot A70
シャッタースピード 4秒
絞り F5.6

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